皆さんはタッチセラピーという言葉を聞いたことはありますか?昨年10月、私は国際リドルキッズ協会が認定する小児タッチセラピストの資格を取得しました。国際リドルキッズ協会の代表はティナ・アレンという女性で、米国のUCLAこども病院をはじめとした医療機関で、医師、看護師、保健師、助産師たちとベビーマッサージ及び小児タッチセラピープログラムを開発し、現在は世界各国でタッチセラピーを広める活動をしています。
タッチ=皮膚への刺激、スキンシップは健康な子供も、病気がある子供も、障害がある子供も、すべての子供が必要としているものです。私自身も2人の息子の子育てを通してスキンシップの重要性を感じ、タッチセラピーに興味を持ちました。子供が赤ちゃんのときは授乳やオムツ替えの時、泣いてあやす時など1日の中で肌に触れる時間はたくさんありますが、1人で歩くようになり、年齢がどんどん上がるにつれてスキンシップの時間は減っていきます。特に日本人は家族や友達とハグやキスをする文化がないのでなおさらです。
タッチをすると幸せホルモン(オキシトシン)が分泌され、ストレスホルモン(コルチゾール)の産生を抑制します。これにより親子関係の改善、情緒の安定、発達の促進などたくさんのメリットがみられます。病気がある子供たちにとっては病気の症状を緩和したり痛みを軽減する、障害がある子供たちにとっては障害と付き合いやすくなる、自己肯定感を高めるなどの効果もあります。大事なことはタッチを受ける人がタッチを嫌がっていないこと、タッチをおこなう人もリラックスしていることです。
近年発達障害を持つお子さんが年々増加していると言われています。発達障害には①社会性の問題②コミュニケーションの問題③想像性の欠如を特徴とする自閉症スペクトラム障害および①多動②衝動性③注意力の欠如を特徴とする注意欠陥多動障害(ADHD)、そして書字障害・読字障害・計算障害などの学習障害があります。発達障害のお子さんはオキシトシンが分泌されにくい体質を持つと言われており、タッチセラピーは大変有効です。当院では発達障害児の診察もおこなっておりますので、お子さんの様子で気になることがある方はいつでもお問い合わせください。
今日から皆さんも日常生活にもっとスキンシップを取り入れてみてはいかがでしょうか?
著者 ラッフルズメディカルプノンペン 八木かなえ医師